見覚えのあるツインテールが、人ごみに紛れて視界に映った。
それまではいい。
問題は何もない。
だがその隣。
ツインテールの茉莉の隣。
黒髪にダークブルーの瞳をした、
カイトがそこに居た。
あたしの鼓動は一度、大きな音を立てて、消える。
瞬きさえも忘れて、ただただ目の前の光景を見つめる。
見たくないのに、
目が離せない――。
それは、茉莉とカイトが一緒に居たから?
それもある。
でも本音は、
久しぶりに見たカイトの姿に、
“あぁ、元気にしてたんだ”って、安心したんだ。
あたしは、二人の姿が街の中に消えて行くのを見届け、消えてからもそこを見続けていた。
それから小さく笑って見せて、くるりと踵を返した。
「さあ帰るぞ伊吹くん!今日の晩ご飯はそうめんじゃそうめん!」
元気よく歩いて行くあたしの腕を、伊吹は当然のように掴む。
あたしは立ち止まり、振り返らない。
「…いいんですか?」
「…なにが?」
「今の、二人」
その問いかけに、あたしは大きく深呼吸し、勢いよく振り向いて、


