何度も鳴らすけど反応は一緒。
終いには留守番になるくらい。
ダメだ。
携帯って、こういう時に役に立たないんだ。
あたしは携帯を閉じてポケットに押し込むと、帽子を被り直して走り出す。
それから伊吹を振り返る。
「伊吹!!行くのだよ!!」
「どこにですか?」
「茉莉を捜しに決まってるだろう!!!?それしかないだろう!!!?」
「あてもなく、ですか?」
「あてがないなら捜すまでだぁあッッ!!!!」
もうあたしの頭にはそれしかない。
伊吹みたいに、頭デッカチに考えるばかりじゃなくて、先に行動を起こすことも大切なのである!!!!
ショッピングモールを飛び出して、街へと繰り出す。
ここは隣町。
あたしが行くとこなんてたかが知れてる。
詳しく知っているわけじゃないから、ホントに走り回るしかほかない。
この炎天下のもと、長時間走り回るなんて、自殺行為だけど。
可愛い妹分が行方不明なんだからそんなこと言ってられっかぁあああッッ!!!!
щ(゜Д゜щ)クワッ
気合い十分のあたしは、クタばることを知らない。
あてもなく走り回り、茉莉の名前を呼びまくる。
でも返事なんてなく。
「…もっ……ホントどこ行った…」
呟いた瞬間、クラッと。
身体が揺れた。
あ、ヤバい。
目眩が……。
「普通、こんな炎天下で、水分補給もなしに走り回る人が居ますか」


