この前の春だってそうだった。
カイトはいつも、何も言わずに背中を向ける。
何を聞いても、何を言ってもはね退けられる。
だけどあたしは、そんなガードの固いカイトでも、やっぱり嫌いにはなれないわけで。
……惚れた弱みってヤツですねわかります。
「はあ~」と深いため息をついて、机にベタっとくっつくあたしを、横に座っていた花梨が嫌そうに見つめてくる。
「何よ、陰気臭いわね。ため息なんか吐かないでくれる?無駄にCO2増やさないでよね、地球温暖化が進むから」
「…みかりんよ…あたしのため息で地球温暖化が進むと本気で思っているのかい…?」
「そうね。思ってるわ。」
「そんなこと言ってたらとっくに地球は破滅だよ!!」
「じゃ、そうならないように善処しなさい。はい、エコだと思って息止める!」
「殺す気かコンニャロー!!」
うがーと椅子から立ち上がって両手を振り上げたあたしに、
花梨は「ふふん」とお得意の笑みでこう言った。
「あら、怒れる元気があるなら安心ね」
目を細めてあたしを見上げる花梨。
あたしはポカンと口を半開きにして、ぱちくりと瞬きをする。
すると前方から。
「ホントホント!ちーちゃんマジで元気なかったから心配したし!」
瑞希の声が聞こえた。
あたしはそちらに顔を向け、瑞希のニッコリ顔を見つめ、花梨を見つめ…を繰り返す。
「…え、あたし、元気、なかった…?」
まるっきり素の状態で尋ねたあたし、二人は同時に大きく頷いた。
「いっつも空元気って感じだった!」
「ほーんと。ま、何があったのかはなんとなくわかるけど」
…………。
……ふ…2人とも……


