何でそんなに怒っているのかわからない。
でも聞いちゃいけないような雰囲気。
どうしたらいいのかわからない。
首筋から鎖骨、そして胸元まで、カイトの唇が這う。
あの春の時みたいな行動。
だけどあの時と違う。
カイトが違う。
カイトが怒ってる。
――まるで、怒りをぶつけられているみたいで。
そんなのは嫌だ。
ホントに嫌だ。
カイトのことは好きだけど、でもこんなのは違う。
「……かっカイト…ホントにやめっ……」
怖いのか悔しいのか。
嫌なのか情けないのか。
いつの間にか涙まで出てきたあたしの声に、カイトの行動が静かに止まる。
そして顔を上げずに、あたしの手を離す。
ゆっくりと立ち上がり、終始あたしに顔を見せないまま、カイトは部屋のドアへと向かう。
出て行く直前、
「……ごめん」
そんなセリフが、微かに聞こえた。
その日から、カイトは家に帰ってこなくなった。


