「高橋虹汰」
たかはしこうた。

彼はそう名乗った


「俺の親は、すっげぇ、親バカでさ!!」


笑いながら話す彼の顔はなぜか直視できなかった。




いや、見ていられなくなった。

「...も、やめ…」

「俺かばって死んだんだよなぁ!」





やめて─────…




彼は目を見開いてわたしを見ていた。

いつの間にか私は叫んでいた。


「あ、ごめんなさ…ぃ…」


初めて自分の気持ちを叫んだ気がする。
彼はすぐに笑顔になった


「わりい、でもな…」


虹汰くんはわたしの目をじっとみた。不覚にもどきりとした。


「現実から目ぇ、背けんなよ。」


そのときは、彼の言葉の心理がよく分からなかった───…