長く話したことがないってことは、必要最低限のことしか話してねぇってことか?
『いえ、この学校の友だちは盛山くんだけです。』
……えっ…?
「ほ、他の友だちはいないのか…?」
『いないわけじゃないんですけど、他の学校やプライベートに何人かいるだけで、この学校にはいませんでした。
みんな、耳の聞こえない私を避けるんです。
中学の時も友だちはいませんでした。
でも、いいんです。
今の私には盛山くんや他の友だちがいるから大丈夫です。』
そう俺に伝えて笹村は笑う。
…でも彼女は心から笑っていない。
顔では笑って、心では泣いている。
泣いて、泣いて、悲しんでる。
ギュッ
「無理に笑うな。
…泣きたきゃ泣けばいい。」
気づけば笹村を抱き締めて、そう呟いていた。
でも彼女には聞こえない。

