…………え?
キコエナイ…?
俺と慎司は驚きを隠せなかった。
そんな俺らを見た彼女は困ったように笑い、続きを書いて見せた。
『だから、相手が何を話しているのか見るんです。
口パクを読み取るみたいな感じです。
じっと見るのもそのせいなんです。
嫌ですよね、ごめんなさい。』
彼女が書いた文字には、
悲しさと寂しさ、自嘲、
色んな想いが含まれている気がした。
顔を伏せる笹村に、
「そんなことなっ……」
ハッと気づく。
…彼女は耳が聞こえないんだった。
そう思い、笹村の肩を叩く。
顔を上げた笹村に向かって俺は、
「そんなことねぇよ。
それは仕方ないことなんだし、笹村は悪くねぇよ。
むしろ俺はすごいと思う。
見るだけで何言ってんのか分かるなんてフツーじゃ出来ないだろ?」
そう言って優しく微笑んだ。

