笹村ってあの子か。


でも聞こえないって何だ?



笹村のいる席は教室の真ん中辺りにあって、ドアから呼んでも聞こえるはず…



するとリサは笹村の側へ寄り、笹村の肩をトントンと少し雑に叩いた。


その瞬間、ビクッと肩を揺らす笹村。


だがスッと顔を上げ、リサの顔をじっと真剣な表情で見つめた。



「盛山くんが呼んでるよ。」

とこっちを指差しながら言うリサ。


俺を見た笹村は、あっという表情をしてこっちへ歩いてきた。



…メモ帳とシャーペンを持ちながら。