手話~僕等のカタチ~




それと同時に、笹村もスッと立ち上がった。


不思議に思い彼女を見上げる。



【ちょっと待ってて。】


それだけ伝えて人混みの方へと歩き出す笹村。



「ちょっ、どこ行くんだよ!?」


パシッと彼女の手首を掴む。



生憎、今の俺には立ち上がれる力は残ってない。


それくらいヘトヘトに疲れ切っていた。



そんな俺の手をそっとほどき、


【大丈夫だから。】

と一言残して、大群衆の中へと入っていった。



「……ホントに大丈夫かよ…」



ポツリと呟いた不安の混じる俺の声は、誰にも聞かれることなく静かに消えていく。