「どこいこっか。」
海が道ばたに座り、塀を背もたれにしてあたしに聞く。
「どこって・・・」
「今さら、学校いったって、怒られるっしょ。」
「そっかー。じゃあ・・・」
「じゃ??」
「じゃあーー。」
「「うみ。」」
「か、海も?」
「空の好きな場所じゃん?」
覚えててくれたんだ。
「うんっ!行こっ!」
海の手をひっぱって立たせる。
自然に体が動いちゃって、バクバクしているあたしの心臓。
「よっしゃ。行くぞ。」
海が歩き出す。
その後ろを歩くあたし。
上を見ながら、海がいう。
「空、綺麗だな。」
「空っ?? あ。え・・・あ、空ね?」
あたしの事かと思った。
ほっぺたが赤くなるのが分かる。
「あ、お前今自分の事だと思ったんだろ?」
こっちを向いて、海がいった。
「ち、ちがうもん。海のばか。」
「あ、またばかって言った!ばかだーー!」
「うるさーいっ!」
走り出す海をあたしは口ごたえしながら追いかける。
海なんて行けるかどうかなんて分からない。
でも、海を目指しているだけで。
海といわれるだけで。
あたしの人生はそれだけで幸せになるんだ。
