「久しぶりだな。」
驚く空の顔。
気のせいかな?? 少し顔が赤く見える。
「何だよ。忘れちまったのか??」
ちょっと心配になって聞いてみる。
「え・・・海・・だよね??」
「分かってんじゃん。行くぞ。」
空ににこっと笑って、手を引いて走る。
「え・・・ちょ、かいーーー!」
あわてて空も走り出す。
懐かしい感触だな。
手を握ったまま次の角を曲がる。
その次はたしか右。
その次は・・・・
「あれ?? 次どっちだっけ?」
振り返って空を見る。
ちょっと息切れしている空は、ゆっくり顔を上げてから、驚いたように目を点にしている。
「え? 今、海なんて言った?」
「次、どっちだ?って言ったけど・・・?」
「次、どっちもないでしょ! 前見てよ!! 行き止まりじゃん!!」
俺の言葉を遮って、空は怒鳴る。
「てか、手離してよ。いつまで持ってんのよ。」
「あ、ごめっ!!」
空の手をとっさに、話す。
右手がからっぽで少しさみしい。
