海side


遅刻だ。



昨日の夜に「明日こそは絶対遅刻しない。」と決めていたのに、やってしまった。




「今から着替えてご飯食べて...。間に合わない。」



4月の上旬。聖桜高校入学式の今日。三木 海(ミキ カイ)遅刻寸前です。



「お兄ちゃーん!起きないと遅刻するよ?」



下から妹・舞子(マイコ)の声がする。


どうしてアイツはあんなに早く起きれるんだか。



「わかってるっつーの!」



下に届くように、大きな声で返事する。



「もー。ほんとに!遅刻したらどうするのよ。」



舞子の心配をよそに、俺はゆっくり支度をする。



どうせ遅刻するんだ。もう諦めよう。


「お兄ちゃん、早くしてっ!」


「うっせ。」



パンを口にくわえて、くつを足に引っ掛けた。



「ってきます。」



扉が閉まる。

春の暖かい日差しに包まれてってか(笑)


ひとり寂しく桜並木の下を歩く。



「あーーーーー!」


不意に声が出る。上を見ると桜がはらはら降っている。





ふと、前を見ると同じ制服の女がキョロキョロしている。




「なんだ??」



女に駆け寄って、肩に手をおこうとした瞬間、女が膝から崩れ落ちそうになった。




「大丈夫か??」



びっくりした顔で振り向く女。



それか俺と空の二年ぶりの出会いだった。