それからしばらく
俺と愛斗は遊びまくった

「いやぁ、今日は楽しかったな!また遊ぼうぜ!」

「あぁ、ありがとな」

「いいって事よ!」

愛斗はニコッと笑いながら
俺に言った

おかげさまで少し楽になれた
気がする

「じゃあ、また明日!」

「おう!じゃあな」

そして俺たちは別れ
それぞれ別の道を歩き始めた


俺は1人夜道を歩きながら
いろいろな事を考えていた

「…楓夏…あいつの事好きになったりすんのかな」

頭に浮かんでくるのは
楓夏の事ばかりで

改めて俺は、楓夏の事がそれぐらい
好きなんだと、思い知らされた

「俺の思いは届くのかな」

まぁ、届くも何も俺が楓夏に
告白しない限り、届くことはない

相川に取られる前に
告白だけでもしといた方がいいのか?

でも、告白したとしても
フラれるだろうし…

俺の事、ただの幼なじみとしてしか
見てないんだろうし

「…どうすっかな…」

考えれば考えるほど
分からなくなってくる

あまり考えすぎるなって事かな


「…楓夏…好きだよ」

俺は夜空に向かって
そう呟いた

届くはずないこの声は
いつか君に届く日は来るのでしょうか


「…あれ?雄?」

ふと聞き覚えのある声が聞こえ
俺は声のした方へと振り向いた

「…あ、兄ちゃん」

そこにいたのは兄ちゃんだった
俺の2つ上の兄、紘がそこにいた

「珍しいな、雄がこんな時間まで制服着て外にいるなんて」

「今日は愛斗と遊んで帰ってきたんだよ」

「そうかそうか!」

兄ちゃんは嬉しそうに笑っていた
この人の笑顔は不思議で…

自然と俺まで笑顔にしてしまう

「…そーゆう兄ちゃんこそ、今帰りか?」

「そうそう!少し寄り道してた」

少し照れくさそうに笑いながら
兄ちゃんは言った

兄ちゃんは今、大学2年生
俺と違って頭がいい

「あ、そーいえば!さっきそこで楓夏ちゃん見たよ」

「え?楓夏を?」

突然出た楓夏の名前に
俺の心臓は高鳴り出す

「うん。何か男の子と一緒にいたから彼氏かな?なーんて!」

「………男か…」

相川だろうか?
家が近かったりするのか?

それにこんな時間まで出歩いているとは
俺と同じく寄り道でもしていたのだろうか?

「…はぁ…」

「どうした、雄?ため息なんかついて」

「何でもねぇよ、早く帰ろうぜ!」

俺は無理やり話題を変え
家に向かって歩き出した