「つーか、さみぃな!」

「当たり前だろ、もう夏は終わったんだぞ?」

「いつの間に!」

「お前はバカか…」


愛斗が呆れたように言う
でも、本当気づかなかったな

いつの間に夏が終わってたんだろ
夏が過ぎ、季節はもう秋ごろだ

早いな、季節が過ぎ去るのは


「…おーい!雄にお客さんだよー!」

ふと俺を呼ぶ声がした
振り向くと、真琴がいた

「俺に客?誰だよ」

「隣のクラスの相川竜くん」

「…あいつか…」

何しに来たんだ?あいつ
少し気にかかりつつ、俺はドアの方へと向かった

「俺に用って?」

「…あぁ。ここじゃあれだから屋上行こうぜ」

「おう。分かった」

俺たちは屋上へと向かった
会話は全くない

妙に気まずかった


屋上に着き、俺たちはフェンスにもたれかかる
竜は何も言わない

しばらく重たい沈黙が続いた


「…なぁ、雄」

「何だよ」

沈黙を破ったのは竜だった
竜は少し気まずそうに話し始めた

「…昨日は、あんなこと言ってごめん…」

「………え?」

竜の口から出た言葉が意外すぎて
俺は変な声を出してしまった

「昨日、言い過ぎた。本当ごめん」

「…あ、いや。別にいいんだよ。俺も悪かった」

昨日は自分をコントロール出来なくて
感情まかせにいろいろ言ってた

正気に戻った今では
すごく後悔している


「雄にはいろいろ感謝しねぇといけねぇのに…俺は…」

「なーに言ってんだよ。もう怒ってねぇから心配すんな」

「…でも、本当にごめん」

深々と頭を下げる竜を見ていると
俺はなぜか笑いがこみ上げてきた

「ぷっ…!あはははっ!」

「な、何笑ってんだよ!人がせっかく謝ってんのに…」

「お前でもちゃんと頭下げるんだなって思ったら笑えてきて!あっはははは!」

「…お前は俺を何だと思ってんだ!」

竜は少し顔を赤くしながら
怒っていた

まぁ、これで一件落着って事で!

「よし!この話はもう終わり!」

「…お、おう」

「って事で、教室戻ろーぜ!」

「おい!待てよ、雄!」


俺たちは勢いよく階段を駆け下り
自分たちの教室へと向かった