失恋歌

「なぁ、雄」

「…ん?どうした愛斗」

「…元気か?」

「…………はい?」

愛斗のいきなりの言葉に
俺は変な声が出てしまった

「いや、何となく?元気かなって」

「…ぷっ…!あはははははっ!何だそれ!」

「な、何笑ってんだよ!」

「だ、だって!いきなり話しかけてきたかと思ったら元気か?って!ツボるわ!」

「何だよ…人がせっかく心配してやってんのに…」

愛斗は不機嫌そうに言った
愛斗なりの優しさなのかもな、これは

「あー、悪い悪い!心配ありがとな。でも俺は大丈夫だから!」

「…そうか。ならよかった」

愛斗の顔に自然と笑みが浮かんだ
俺、すげぇ心配かけてたのかな…

そう思うと愛斗に
申し訳なくなった

「愛斗、悪いな…心配かけて」

「何言ってんだよ。お前の心配するのが俺の役目だろ?気にすんなって」

「…ありがとな、本当」

「いいっていいって」

俺はいい友達をもったかもしれない
こんな奴、他にいねぇだろ

俺の事、こんなに心配してくれる人なんて
愛斗以外いないと思う


楓夏の件でひと段落ついたら
愛斗に何かおごってやるか

俺は密かにそんな事を考えていた