失恋歌

「…あれ…おかしいな…何で俺…泣いてんだよ…」

俺は泣いてる姿を見られたくなくて
愛斗に背を向け、必死に笑顔を作った

「…雄は…もう十分頑張ってきたよ。ふうちゃんのために…なのに何で…まだ頑張ろうとしてんだよ」

「…ははっ…俺は何もしてやれてねぇよ…頑張ってなんかねぇよ…」

俺は楓夏に何もしてやれなかった
楓夏のために、楓夏のためにって

ずっと思ってきた
でも、結局俺は…あの頃と何も変わってない


「……雄…もう十分だよ…だからもうこれ以上無理して笑おうとするな…」

「…無理?無理なんかしてねぇって…」

俺は嘘つきだから
だから俺は…頑張ってなんかないし
無理もしてない

ただ…嘘をつき続けてるだけ…


「雄、お前…ふうちゃんの事が好きなんだろ?」

「………え?何言ってんだよ…お前」

「知ってたよ。中学の時から…だから俺は心の底からお前の事応援してた」


愛斗にはもうずいぶん前から
分かっていたというのか

俺の心の中が
愛斗には読まれていたのか…


「…ありがとな…愛斗…でも…もう大丈夫だから」

俺は愛斗の方を振り向き
笑顔でそう言った

「…俺はいつまでも応援してるからな」

「ははっ…さんきゅ!」


俺は再びあふれそうになった涙をこらえ
笑顔を作った

楓夏が好きで…大好きで…
その気持ちはいつまでも変わらない…

例え叶わなくても…
それでも俺は…ずっとずっと…

楓夏の事が好きだから…


俺は心の中でそっと呟いた
楓夏を思う気持ちは誰にも負けないと

そう言い聞かせるように…