失恋歌

次の日の朝、俺はいつものように
楓夏の家へ向かっていた


「あ、何だお前来てたのか」

「…何だってなんだよ」

俺より先に竜が来ていた
まぁ、家が近いから当然か

「…お前、いつ楓夏にコクるんだ?」

「何だよ、いきなり」

「いや、別に?気になっただけだけど」

竜が告白して、もし楓夏がOKしたら
俺の恋は終わる

それまでに心の準備をしとかねぇと
俺、どうなるか分かんねぇからな…


「…もうそろそろコクろうかなとは思ってる」

「へぇ…そうか。まぁ!頑張れよ」

「お前さ、本当にそう思ってるか?」

「………え?何言ってんだよ、当たり前だろ?」

竜には全てお見通しなのだろうか
そう思うと、少し怖くなった

「…俺の事応援してくれんのは…すげぇ嬉しいけど…」

「そりゃよかった」

「………やっぱ分かんねぇわ…」

「…え?何が…?」

竜は真剣な眼差しで俺を見ている
その目はどこか寂しそうで

そして竜は口を開いた


「お前が何考えてんのか…俺には分かんねぇよ」

「…………え?」

俺はいきなりの言葉に
戸惑いを隠せなかった


「お前は何がしたいんだ?何を思ってんだよ…分かんねぇよ、俺には」

「…何言ってんだ、竜。何がしたいって…俺は竜と楓夏をくっつけたいだけで…」

「それお前の本心か?俺にはそうは思えねぇけど」

「何だよそれ…冗談キツいぜ!竜くんよ」

「……そうやっていつもヘラヘラ笑って…本当お前…何考えてんだよ」


竜は少し呆れながらそう言った
なぜ、いきなりそんなことを言いだしたのか

俺にはよく分からなかった
俺、何かしたかな


「…悪いけど、俺先行くわ…楓夏にそう言っといて…じゃあまた…学校で」

俺は竜の視線に耐えられず
1人で先に学校へと向かった


「…これ以上…俺の心を乱さないでくれ…」


必死で自分の感情を押し殺しながら
溢れそうになる涙をこらえながら

俺はただただ歩いた