失恋歌

「雄ってさ、よく見るとイケメンだよな」

「…そうだね…雄はかっこいいよ!」

あまり見た事なかったから気づかなかったけど、こいつよく見るとイケメンだ

寝顔を見て思った
優しそうな顔してるよな、雄って

無造作にセットされた髪
長いまつげ、色素の薄い唇

「何だ、ただのイケメンか」

「雄はね、みんなの人気者だったの。この顔にあの優しくて明るい性格…モテモテだったんだよ?」

「…何となく想像出来るよ」

「運動神経抜群でね、小学校の時からサッカーやってて…すごく部活熱心だった」

サッカーやってたのか
確かに、サッカーやってそうな顔してるな

「とにかく雄は、裏表がなくてすごくみんなから好かれてたの。先生からも信頼されてたし」

「そうなのか…こいついい奴だもんな」

いつも笑顔を絶やさない、雄
どんな時でも笑ってて、何を考えてるか分からない奴

俺がふうの事が好きだと言った時も
応援すると笑顔で言われた

確か、こいつにも好きな奴がいるって
言ってたな

もう叶わないとか言ってたけど
誰なんだ、その好きな奴って

「…でもね、竜くん」

俺がいろいろ考えていた時
ふうがふと寂しそうな顔をして俺に言った

「雄は…何でも1人で抱え込むくせがあるの…本当は泣きたくても無理して笑って…感情を押し殺す…それが雄なの」

「……笑顔の裏には…いろいろあるって事か」

「…どんな時でも相手の事を一番に考えて行動する。自分が傷つこうがそんなの関係ない…例え自分が傷つけられてでも、大切な人を守り抜く…それが雄…」

お人好しにもほどがあるだろ、雄
お前が傷ついてどーすんだよ

「…だから竜くんには…これからも雄と仲良くしてほしい…」

「分かった。約束する」

「…ありがとう」

ふうの顔が少し明るくなった
雄の事、本気で心配してるんだな

さすが幼なじみ
相手の事よく分かってる

雄も、俺の知らないふうの事
俺よりたくさん知っているのだろうか



雄は強そうに見えて実は弱い
何を考えてるか全然読めない、そんな奴

本心はどれなのか
本当は何を思っているのか

全く分からない

そんなちょっと変な奴のおかげで
俺はふうとこうして一緒にいられるのかもしれない

いつか俺の恋が叶った時
雄は本当に喜んでくれるのだろうか

俺は雄の本心が知りたいと
そう心の底から強く思った