「…やっぱり暑い…」

校庭に出てきたものの
やっぱり暑いものは暑い

「…つかさ、雄」

「何だよ、いきなり」

愛斗がいつもに増して真剣な顔で
俺に話しかけてきた

「…相川、足早いらしいぜ」

「…………何だよ、そんな事かよ」

んなもん知ってるよ
中学の時、陸上やってたらしいからな

そりゃ、早いでしょうよ

「…まぁ、雄も負けてないだろ。雄の足の早さは学年1位だもんな」

「さぁ、どうだかな。俺は勝てる気しねぇよ」

あいつはかなり早いと思う
身長も高いし、歩幅も広いはずだ

その分1歩がでかい
だから有利なのはあいつの方だと俺は思う

「…そんな弱気になんなって。俺は雄を応援するし」

「つか、リレーであいつとあたるかどうかも分かんねぇんだぞ?気が早すぎやしねぇか?」

授業すらまだ始まっていないというのに
愛斗、気が早すぎです

「そんなのお前と相川をアンカーにおくに決まってるだろ?」

「………………はぁ?!何勝手に決めちゃってんの?!」

俺の同意なしで?
何勝手に話進めてる訳?

「…もちろん、やるよな?雄くん?」

「……げっ!」

愛斗は笑っているが目は笑っていない
つかその目がやれと語っている

こうなったらやるしかねぇな…

「分かった分かった…やればいいんだろ」

俺は半分無理やり、そして強制的に
やらされるはめになってしまった

そしてやっと授業が始まったのだった