「ゆーうー!おはよー!」

「…真琴、おはよ。つか相変わらずうるせぇな、お前」

この暑さだってのに
こいつはいつも通り元気だ

「うるさいは余計だよ!せめて元気って言ってよ!」

「…はいはい。うるさいうるさい」

「全然分かってないじゃん?!」

顔を真っ赤にして怒る真琴は
全くと言っていいほど怖くない

まぁ、こいつを怒らせると
やばいらしいから嫌だけど

「…にしてもさ、暑いね」

「あぁ。お前みたいに暑苦しいぜ」

「僕関係ないでしょ?!」

すかさずツッコミを入れてくる真琴
今日はいつもに増して元気だな、こいつ

「そんな事より!今日1時間目から体育だよ?」

「………………はぁ?!こんな暑い中体育だと?!」

ありえねぇ…つかめんどくせぇんだけど
しかも、体育って隣のクラスと合同だよな

って事は…
楓夏のクラスと一緒か

「…はぁ…こんな暑い中何すんだよ…」

「何かねぇ、リレーするんだって!」

「ありえねぇ…」

こんな暑い中走れと言うのか
教師め…一生恨んでやる


「はい、みんな席ついてー!HR始めるよ」

噂をすれば何とやら
担任がやってきた

俺は半分苛立ちながら
担任の話を聞いた


「…はぁ…1時間目から体育か…」

俺のテンションは下がっていくばかり
担任の話は一瞬で終わり

もうすぐ1時間目が始まる
俺はというとまだ体操服にも着替えていない

「何やってんだよ、雄…早く着替えねぇと遅刻すんぞ?」

「…別にいいよ…めんどくせぇし」

「はぁ…せっかくふうちゃんに会えるのに?」

「朝会ったからいいよ」

「…リレーでふうちゃんにいいとこ、見せなくていいのか?」

「……………え?」

こいつ、何でさっきから楓夏の事ばかり
俺に言ってくるんだ?

「…お前、運動神経すげぇいいんだから。ふうちゃんにかっこいい所見せてやれよ」

「……つまり、俺に体育をしろと?そう言いたいわけね?」

俺がそう言うと、愛斗はいい笑顔で頷いた
はぁ…やりゃいいんだろ、やりゃ

「分かったよ…」

俺は仕方なく着替え始めた
つか、体操服の方が涼しいな

俺は着替えながらそんなどうでいい事を
考えていた

「よし、行くか」

俺は着替え終え、少しズレていた眼鏡を
指で押し上げながら

校庭へと向かった