あの日以来、俺と竜は
何でも話せるようになり

今ではちゃんと友達やってる

そして、それと同時に
竜と楓夏の仲が徐々に縮まりつつあった

そのまま季節は1つ過ぎ去り
暖かった春から暑い夏へと

季節は変わっていった


「あっちぃ…もうすっかり夏だな」

俺は登校中、隣にいる楓夏に言った
もちろんその隣には竜もいる

「そうだね…もうすっかり真夏日だね」

「…熱中症に気をつけねぇとな」

「………倒れればいいのに」

「おい!雄!お前今何っつった?!」

俺の独り言が竜にまで聞こえてしまったらしい
ったく地獄耳だねぇ…

「べーつーにー?」

「…お前…殴られたいか…?」

「あー、竜くんダメだよ人殴ったら。暴力反対!」

「うるせぇよ!おめぇのせいだろーが!」

こいつは見かけによらず無邪気である
見た感じクールそうで落ち着いて見えるが

こうして話してみると
意外と無邪気な奴なんだよな

親しい奴にしか見せない
竜の本当の姿

竜が笑った顔は子どもみたいに無邪気で
女子は瞬殺されちまうだろうな

「…あははっ!もうすっかり仲良くなったね、2人とも」

楓夏が嬉しそうに言った
俺たちが話してる所を見ると

いつも楓夏は嬉しそうに笑う
俺はその笑顔が好きだ

「まぁな!今や竜くんの一番の親友だからな!」

「はぁ?!何言ってんだよ!」

「え?違うの?」

竜があからさまに否定すると
楓夏が不安そうに竜を見て言った

「…あ!いや…その…何だ…別にお前がそう思うならそれでいいんじゃねぇの?」

ったくこいつは相変わらず楓夏に弱いな
んでもって素直じゃねぇ

「はいはい、分かった分かった!」

俺はそんな竜を適当にあしらった
ふと楓夏を見ると…

笑っていた
それも幸せそうに

あー…可愛い…
好きという気持ちがさらに膨らんでいく


「…さぁて!学校行くぞー!」

俺はそんな思いを隠すように
2人に声をかけた

「もう向かってるだろーが」

「てへっ☆」

「気持ち悪っ!」

ったくひどい奴だぜ
まぁ、それが竜なんだけどな

こいつになら、楓夏を譲ってもいいかな…
なーんて…思ってしまう事がたまにある

竜なら楓夏を
笑顔に出来る…そんな気がするから