紅蓮の炎


そう言ってパンサーの方へ顔を向ける。


そこには、逃げ惑う北の残党を嬉々とした表情で追いまわしている姿があった。
その光景はもはや賑やかどころの話ではなかった。
一方的な殺戮現場を目の当たりにしたかのような気持ちになった。


「…、うん」


僅かに額に汗を滲ませた総長は戸惑いがちに微笑んだ


「でもあんな馬鹿騒ぎしょっちゅう見てますから…
あいつらの将来のほうが心配です」


その言葉に総長は苦笑いしながらも顔を英人に戻す
その気配を感じたのか英人も総長の方へ向き直った。


「でもやっぱりここは遠かっただろ?」

「さすがに遠かったですね。
なんせ中央と北の境目ですから」


一番小さい町は南町な為、もちろん中央町は南町よりも大きい。

パンサーは応援として呼ばれてすぐに南を飛び出し、北との境目に駆けつけてくれた。

はっきりとそのことを伝えられすまなさそうな顔をする総長。
その顔をみながら


「でも、別にいいです。
俺ら龍神についていくって決めたんですから。
使ってやってください」


そう言って少し、笑った。

バジリスクは早くもその姿が数十人程になっている。
その数すらも見てる間になくなっていった



「英人、もう終わったみたいだぞ」


タイミングをみて健太がこちらを振り返り声をかける。
健太の言葉に頷いた


「じゃ、終わったみたいなんで俺ら帰りますね」


遠く、パンサーをみた英人につられてそちらをみると、

そこには確かに北の地へと完全に踏み込んだ彼らがいた。


地面に沈んで気を失っているバジリスクを囲みまた討論をする者達や、いまだ北の方角をみている者達。


パンサーが何を思い、考えているかは分からない。

この日魅せられたような強大な力を誇るのに、
なぜ俺達連合に手を貸すのかも分からない。

パンサーならば、そのチームだけでも北に対抗できそうに思う。
それに、実質南は北からの被害は皆無だ。

彼らの行動の意図が掴めない。

…でも、