紅蓮の炎


人を殴るものとして鉄パイプや金属バットなど使い道の違うものを使うなと言いたいのだろう。

こちらがハッとさせられるようなことを言った彼らだが、
やはりこのくだりで来た為、最後まで締まりが悪かった。


「なぁ俺マジで11時までに帰えんねぇとアニメ見逃すんだけど!」

「バカヤロー!
こっちなんて風呂の栓抜かれるんだぞ!!」

「お前なんてまだマシじゃねぇか!
俺なんて家の鍵閉められんだぞ!!」

「ほんならとっととあいつら潰して帰ろに」

「そうだな、てか俺お楽しみタイムに入ろう思ってた時に連絡入ったんですけどー」

「どんまい!あいつらのせいだ」

「じゃあ俺左翼ー」

「なら俺ど真ん中ー」


そんな会話をしながら各々武器を持ち直し、傲慢ささえ感じる動きで悠然と散らばっていく。
その華奢な背中達が、凄く大きくみえた


「まぁ死なん程度に頼むわ~」

「だいじょーぶだいじょーぶ」

「問題ない」


竹刀、木刀、ヌンチャクを振り回し駆け出したパンサーは見てる間にバジリスクと衝突した
やはり武道をしているのか持っている武器に相応しい動きで次々に倒していく。


「健太、右翼に行ってくれ」


司令塔としてパンサーに指示を出すのはそこの副総長で参謀でもある三上英人。


「英人は一人でも大丈夫なのか?」


優しい雰囲気を纏う190cmの長身を誇るのはさっきも出てきた梁田健太だ。


「喧嘩できないわけじゃない。
しないだけだ」


ムスっとしつつ答える英人に


「わかったわかった」


と仏のような笑顔を向け、悠然と右翼へ向かった。


辺りを見渡す。


たった70人。
その僅か70人が増えただけで龍神連合は形成を逆転した。