雨が降りしきる中、掃き溜めのような路地裏に1人うずくまる女を見つけた。
その女の薄桃色の着物はボロボロに裂け、肩からは赤い染みがじわじわと滲み出ていた。
雨のせいか出血のせいかその女の顔は青白く唇は紫色に変化している。
「おい、しっかりしろ」
思わず声をかけると女は微かに動き瞼を開けた。けれど女が喋る事は無く再び瞳は瞼の奥に消えた。
チッと舌打ちをして俺は刀を女の尻に添え背中に背負い込んだ。
女の血がポタリと落ちて地面に染み込んでゆく。
…まったく、
面倒な拾い物をしちまった。