★FAN★

何かが足に当たった。それに躓いて転びそうになり、当たったものを凝視すると、石に赤茶の布が被さっている。


「三人とも構えろ、依頼開始だ」


リオンは緋焔を抜くと、大地に転がる石に向かって焔を伝わせる。衝撃も混ざった一撃で粉塵と化した。


「こいつら、雑魚だな」

「今のうちだけだ。とりあえず数を減らしておくぞ」



一撃で死に至るエング達だが、やはりここは大量発生の地帯なのか、減りはしない。この霧が現状を隠している。

この濃霧から急に飛んで来たと思う攻撃は、エング自体で、それに備えていると、霧の中で黒い陰が数米にも大きくなった。



「リオン、エングはね、これが本領発揮の状態よ。

大きい上に硬化してるから、並の伎倆じゃ斬れないわよ」



魔法能力で身体向上を計り、身を護る術を手に入れたというわけだ。

火力を高め、先より強い焔を大地に伝う。堅い音がたつと石の破片が飛び散り、だが陰の大きさは小さくはならない。


「無駄な力を使うな、リオン。やるなら最大の一撃で一発で決めるんだ」



雷形態となったのか、槍に膨大な量の雷が刃に溜まり、飛び上がってそれで穿つと内側から爆発したように砕けちり、証明する部分だけをしっかり手にして着地する。


‡アイスクライム‡



霧が上空に集まり、それを凝固するとともに綺麗な音を放ち降り注ぐ。エングの身体よりも堅いのか、一撃毎に削り、魔法効果が失くなった頃には、最後のどでかい氷塊が落とされる。


「今の魔法なんて…、見たことがない…」


その一撃にどれだけの魔力を練って創られたのだろうか。リグレンの大陸では最上級に位をつけられていい魔法だ。

水を氷にするだけでも凄い扱いを受けるというのに…、この大陸での普通の強さとはどれぐらいが基準なのだろうか。