★FAN★

特訓と名の付いたそれに、リオンはやる気満々でヤンクスを待つ。もうリルとメイリンは来ていると言うのに、全く待ち合わせを守らないやつというか。


「わりぃ、待たせたな。起きてからのんびりし過ぎたわ」


すまなそうに見えない笑顔で、帝都から出る門に通り過ぎていくように歩いていった。



丘まで行くと、合図でヤンクスは槍を、リオンは緋焔を握ると、距離を保ったままで話を始める。


「さて、とりあえず手合わせしよう」

「待て、俺は言っていた強さの秘密を知りたいんだ。別にお前とやる理由はない」

「尚更手合わせだな。戦いの中でしか自分の本気は出せないからな」




ヤンクスが先に飛び出すと、槍を払うように振るう。リオンは剣で、槍の刃を振り上げて、空いた腰辺りを、ヤンクスの後ろに動くと同時に抜こうとすると、それを横に避けてその背に槍が振られる。振り向き様にそれを受け止めると、一度離れてヤンクスが笑う。


「ってまじかよ、久々にやり合える奴と会ったぜ。これだから放浪はやめらんないな」

「お前こそ、滅多に会えない人材だよ。身の入った特訓が出来そうだな」








リルとメイリンは丘に吹く風に髪を靡かせながら、のびのびと二人のやり合いを見て、会話をする。


「男ってのはなんで強い奴を見付けると戦いたるんだかね?」


メイリンは素っ気なく呆れた物言いで、リルにそれを問う。リルは苦笑して、二人の戦いに目をやると、口を閉じてまた開く。


「なんでだろうね?でも、カッコイイと思うよ。男の人の戦っている姿は…」

「そこは聞いてないけどね。正直男はむさ苦しいっていうか…、あまり触れたくはないよ。

怪我とかしてるときは除くけど」

「そう?結構好きだけどな、男臭いのは」

「あんたとは意見が合いそうにないね。

ま、別に試験だけの縁だし、どうでもいいけどね」


二人は互いに相手の性格を理解したか、それ以上は互いについてあまり話そうとはしなかった。