★FAN★

斧がリオンを切り裂く前に、ヤンクスが力一杯こめた渾身の振りで斧を弾き返した。槍には雷を纏うために、斧を通電してラジャスに流れ込む。


「待たせたな、リオン。ここからは俺が行かせてもらおう」


下からは上空に向かって、後衛二人が魔の球を放ち、追撃を入れる。まだ滞空を保つヤンクスは、槍を持ち直すと槍をどてっぱらに貫く。


斧で受け止めたラジャスとヤンクスの間に、雷の弾けが空に舞い、ラジャスが薙ぎ払うと、ヤンクスは体勢を整え着地を果たす。


「一人だけってのも辛い。俺もやらせてもらう」


着地した背の痛みに多少堪えてはいるが、剣は紅く燃えたぎっていた。


(開くか…。鍵よ、我が声に詞を聞け。『無敗』)




バチバチバチと雷が白い光を放出。流れ出る雷はヤンクスの身体から槍に伝い、凄まじい電圧が刃に留まる。持ち柄さえも電気が流れる。


それはまだ何も知らないリオンやリル、メイリンには全くわからない能力の発動であって、自らの攻撃が邪魔になると悟った。


ラジャスはクククと、面白いものを見れたかのように笑うと、斧に力を溜めて、ヤンクスの攻撃に全力での反撃に備える。


ヤンクスは跳び駆けると、見えない速さで突きを連発する。雷が遺るために、少しずつそれが太く見え、ラジャスの斧は電撃に耐えられず、破壊した。

(まさかそれほどの力を操れるとは…。雷帝とでも云うべきか)


ヤンクスがラジャスの体勢が崩れると、上空に放電すると、身体を回転させて払う一撃に、放電した雷がタイミングを合わせて落雷する。


「奥義《雷滅衝逝》」



その熱により、皮膚が焦げ、黒い炭と化したように、それが受けた状態の姿で動きが停止すると、ボロボロと崩れ去り、そこに山を作ってラジャスは消えた。


(鍵よ、閉まれ…。詞は『終滅』)


大量に流れ出た雷がおさまり、ヤンクスの能力状態が元に戻ると、力が抜けたように座り込み、はぁと息を吐く。