Dear:大切な君へ。


「いいか、俺は何を言われても入部しないからな」




高校生活は部活なんかに邪魔されずに、やりたいことをするんだ。




そう心に誓ってこの高校に来たのに、部活に入部してしまったら中学時代の二の舞だ。




「わかったわかった。わかったからそんなピリピリすんなよ」




入学式の翌日の放課後。




早く早くと蒼佑に急かされ、俺らは体育館へと向かった。




体育館に近づくにつれ、聞こえてくる懐かしい音。




ドリブルをつく音、バッシュと床が擦れる音、シュートがきれいに決まった時になる音・・・・・。




・・・・・って、なに懐かしんでるんだよ俺。




もう部活はやらないって、さっきも決意したばっかだろ。




ブンブンと頭を振って、少しでも頭に浮かんだ入部という文字を振り払った。