Dear:大切な君へ。


そして、




「夕美ちゃん、彼氏いるらしい」




意を決して口を開いたのは浩太だった。




「・・・・・え?」




俺の口から出たのは、情けなくも小さなその一言だった。




「いや、なんていうかその、春休みくらいから付き合ってる奴いるらしくて」




気まずそうに話す透の言葉も、どこか遠くから聞いてるような感じだった。




そうか。だから須藤さんはあんなこと言ってたんだ。




あの意味ありげな言葉の意味をやっと理解する。




そして今まで健ちゃんって呼ばれるだけでテンションが上がったり、部活中夕美が俺のことを見てたんじゃないかということを考えていた自分が恥ずかしくなった。




結局、他の男より好印象を持たせようとしたところで、夕美の中の俺は周りの男たちと一緒だったってわけだ。