「ん?どうかしたか?」 不思議に思って声を掛けると、 「うーん、ここ最近こっちの腕上がんないんだよね」 と、今棚に手を伸ばした方の腕をさする。 「なんか筋でも痛めてるんじゃないか?」 「そうなのかなぁ」 「まぁ、ひどくなったら病院に行けよ」 「うん、そうする」 はい、と逆の手で取った辞書を俺に手渡しながら言う。