空色バルコニー

3

生まれて始めて、震えるほど驚いた。
バルコニーに手紙が置かれていたのだ。

ピンク色の封筒だった。
それを掴むと、急いで封を開けた。でもしばらく読まなかった。いや、読めなかった。

もしかしたら、迷惑だと書かれているかもしれない。キモいことしないでくれと書かれているかもしれない。

覚悟を決めた。


***


始めまして。
私は日野泉(ヒノ イズミ)です。いきなり手紙がきてびっくりです。
でも悪い気はしませんでした。

私は北海道に住んでいましたが、父がこっちで働いているので、転校してきました。

こっちにはまだ友達はいません。
だから嬉しかったです。


ps

実は手紙の返事を出すか迷いました。
出すと決めた理由を知りたいですか?
それは、ちょっと恥ずかしいけど、小谷君の目がきれいだったからです。
1回だけ目が合った時、そう思いました。
またお手紙ください。

I H


***


fin