あの後梨佳のお爺さんは気付いたらもうその場には居なくて黒狐さん、椿ちゃん牡丹ちゃん、響、梨佳と私だけが残されて今に至って居る。

「だから、平気だって!ね?雪音〜もう雪音さえ良いって一言言えば決定なんだよ」

『祓うと言っても私がその力が無ければ意味無いじゃない』

そう言うと「うーん」と唸ってしまう梨佳に何度言えばいいのだと私はため息をついた。

「椿、牡丹。白狐を呼べ、」

「「御意」」

急に口を開き白狐、さん?を呼んだ黒狐さんに問いかけようとしたが遮られてしまった。

『あの、黒狐さん?』

「小娘。お主は力が無いわけではない。まだ封印が完全に解けていないのだろう。白狐はそちらの力がとても長けている。」

「妖弧って狐火とかじゃねーの?」

「だよね、妖狐は普通化ける側と狐火とか戦闘系のどちらかだって黒狐言ってじゃん」

「あれは一般例だ。あ奴は違う。あ奴は簡単に言えば小娘の父と似たようなものだ。だが力は白狐が断然上だ。元々白狐は妖怪と言っても善狐の代表だ。御主等、安倍晴明を存じているか?」

『平安時代の陰陽師ですよね』

「嗚呼、安倍晴明の母は白狐だ。安倍晴明は白狐の力を大きく受け継いだおかげで強大な祓う力を持った。凍らせる力などの戦闘系は私専門だが祓う力専門は白狐だからな。力をたたき出して貰えばよかろう」

「ナイスアイディア!これで決定じゃん!早速祓い屋二代目が開けるね」

『え、まぁ・・・良いのかな?』

「良いんじゃねーの」

『なんか、関係2人まで私にここまでして貰って・・・今更だけど有難う』

「雪音・・・まぁでも「関係してたよね\だろ」」

「俺らの親だってお前の親に力とかよくかしてたんだよ。というかそもそも祓い屋は梨佳の家の敷地使ってやってたんだぜ?」

『・・・長い付き合いだったんだね』

「当たり前だろ」

「「黒狐様、白狐様がお見えになりました」」

暫く居なかった椿ちゃんと牡丹ちゃんが戻ってきて、そろそろ会えるようだ。今更になって少し緊張してきた。

「了解した。」

何処からか鈴の音がしてきた。足音が近づいてくる。襖がゆっくりと開けられた。嗚呼どうしーー

「・・・お初にお目にかかります。白狐です。私を呼んだのは何ゆえのご用件で?」

『・・・』

「・・・」

「・・・」

「・・・」

白狐さんはとても綺麗な人だった。白い肌に長い睫毛。綺麗な唇。
でも、でもーー

「「『・・・なんで、コスプレ?』」」

黒狐さんの盛大なため息が聞こえた。