連れて来られたのは先ほどの庭だった。

「まず、力が発揮された時をよく思い出してみろ」

『・・・分かりません』

「はぁ・・・何もわからんのか。封印は解けているはずなんだが・・・」

いがいにも真面目に考えてくれる黒弧さんを見て驚いた。

「・・・なんだ」

『て、てっきり教えてくれないのかと・・・』

「いつもならな。今回は主様直々の依頼だ断る理由などないわ」

やはり黒弧さんは梨佳のお爺さんを敬愛しているのだと思った。

「本題に戻ろう。まず小娘、お主はあの馬鹿夫婦から貰った封印の物が壊れた故に力が宿った。ひとまず力をもう一度だせる事を目標にやるぞ」

『は、はい』

「とは言ってもお前は特殊だからな。ひとまず、強く念じてみろ。そうだなあの石など良い」

『はい・・・』

強く念じる・・・・・・念じる・・・

『・・・・・・できませんでした』

「・・・やはりそう簡単にはいかぬか。お主力が出たときの装いは持っているか?制服と言ったか」

『あります』

私は言われた通り制服に着替えた。

「装いも関係している場合もあるからな、やってみろ」

『はい・・・』

思い出せ。あの時の環境を・・・・・・って無理に決まっている

『・・・・・・だめだ、できません』

「・・・もしやお主は感情が高ぶるときにしかでないのではないか?検証してくれようぞ」

なにかを呟いたその一瞬でわたしは黒弧さんに間合いに入られ長刀を首にあてられた

『っぐ・・・や、めてください』

「仕方あるまい。このままではお主はいずれあいつ等の足手まといだ。1人ではなにもできぬ、あの忌まわしき男と一緒だ。」

『・・・やめて、ください』

「このような簡単なこともできぬお主に祓い屋だと・・・所詮あいつらと同じだ」

『やめてって言ってるのよ!』

その瞬間あの時の感覚に見舞われた。気づいた時には目の前にいたのは凍った石だった。

「やはり、まだ未熟者だな。感情的にならんとだめなのか」

『先ほどの事は嘘だったんですか・・・だからと言って私の親を侮辱しないでください、もし次もそういう事言ったら貴方を凍らせます』

“次に清四郎さんの事を悪く言ったら貴方でも容赦しないわ”

「ふっ・・・その目つきまで似ておるのだなお主は。まぁ良いこれでお主も力の事のタイミングが分かっただろう。次からはもう容赦せぬからな。後、お主に宿題でもやってもらおうかの。明後日までに力を出せるようにせい。なに、妖力は弱くてもかまわん。では、私は主様の元へ戻る」

煙が上がり無くなった時にはもう姿はなかった。やはりつかめない人だ。
それよりも1番の課題を押し付けられた気がするのは私だけなのだろうか。