山地くんの視線の先を見ると、街灯に照らされたあいつの影。


「じゃ、頑張れよ」


そう言って山地くんは去る。


代わりに近づいてくる足音。


あたしは思わずびくびくして、俯いてしまう。


「もう平気なの?」


高木が聞く。


「うん」


あたしは下を向いたまま答える。


沈黙がつづく。


「何で…」


言いかけて、あたしは口をあわてて塞いだ。


たまたま通りかかっただけに決まってるのに。


また懲りずに期待してしまう自分に呆れる。