ため息をついてそっと片方の
のびたコードを引っ張ると、


紗季はびっくりした様子で俺を視界にいれた。


「か、神谷く・・・っ」


「あー、ほら。そーじゃなくて、
 なんて呼ぶんだっけ??」


「・・・・修平?」


「そ。そっちが正解」


「・・って、何でここに・・・・えっ?
 ていうか、いつからいたの!?」



顔を赤くして慌てふためく紗季。


そうそう。
これなんだよ。


いつもは強気で、
一人でも充分やってけそうに見えるけどさ、


時折見せるこの可愛らしさが
俺の頬をゆるませる。


なかなか俺のことを“修平”と呼ぶことに慣れないのも、
ぼーっとしてなかなか気付かないとこも、


全部、全部可愛いんだ。



「びっくりした?声かけてんのに、
 お前がいつまでもボーっとしてっからさぁ」


「しょうがないでしょ!?聞こえなかったんだもん。
 もう少し大きい声で呼んでよね!!」


「お前がこんなんつけてっからだろー!?」


「う、うるさい!!修平のばか!!」



そんでもって、自然と出ることもあるんだよな。


わけわかんないとこも不思議と可愛いのが、紗季。



「はいはい。んで?こんな遅くまでどした?
 誰か待ってんのか??」



俺がそう聞くと、紗季は急にうつむいた。