バス車内には、サラリーマンの男が一人、残っていた。
先ほどよりも更に静けさが増したこのバスは、普段からこの感じなのだろうか。
今まで修平が座っていた席に、ラックはちょこんと座っていた。
青い瞳を輝かせながら。
〈ラック。ダメだろ。何で声かけたんだよ〉
〈いた・・・っ!!何だよー。怒んなくたっていいじゃんかぁ!!〉
リーフが改めて怒ると、ラックは口を尖らせて反論した。
怒ったのは、ラックが修平に話しかけてしまったこと。だけどリーフは疑問に感じていた。
“どうして見えているのか”。
どうして自分達が“人間”に見えたのか。
じっと考え込むリーフを見てラックは口を閉じた。
〈あいつ・・・。実は人間じゃなかったりして〉
〈はぁ!?〉
〈僕らの仲間だったりして〉
〈あいつは“人間”だ。隣にいたのも“人間”だよ〉
〈じゃあ、なんで見えたのかなぁ・・・〉
バスはいつの間にか停車していて、今まで一人、新聞を読んでいたサラリーマンの姿も、
せっせとハンドルを動かしていた運転手の姿もなかった。


