遠くからラックが走ってくるのが見える。


修平はにこやかに手を振った。


リーフがラックに駆け寄ると、ラックは気まずそうにうつむいた。


〈リーフ・・・。あのさ、ずっと離れててごめ―〉


〈言わなくていい。今回のはお互い様だろ?〉


〈リーフ・・・〉


〈それより、落ち着いて聞いてほしいことがある〉


〈うん。何?〉


リーフは一から説明を始めた。


修平が死んでから、ずっとここから離れられないでいること。



イリアが心配で人間界までやってきたこと。



昔、イリアがラックに助けられたこと。



修平の“魂の定着”をすれば、何かに形を変えて、
紗季に会いに行くことができるかもしれないということ・・・。



それはラックにしか出来ない強力な魔法で、修平がそれを望んでいるということ。





『ラック・・・。お願いだ。協力してくれないか』


修平が最後にそう頭を下げると、ラックは顔を曇らせて口を開いた。



〈・・・嫌だ〉



『な・・・んで・・・。何でだよ!?』


〈おい、ラック!お前にしかできないんだぞ!?修平の頼みだろ!?なんで・・・〉


〈修平もリーフも、そんなことして紗季が傷付くってこと、わからないのかよ〉


『紗季が・・・?』


〈なんで・・・〉


〈会ってどうするんだよ。修平。
 もし修平に気付いて変に思い出させたりしたら、
 紗季はまた苦しい思をすることになるんだぞ?〉


ラックの言葉に、修平は眉間にしわをよせた。