「明日・・・クリスマスイブだな」


「え・・・。うん。そうだね・・。忘れてた・・・」


〈・・うそつき〉


〈ラック?〉


リーフはさっきから紗季に語りかけているラックを見つめた。


その目はとても真っ直ぐで、いつものラックではなかった。




「修平はさ、いつもあたしといるけど、クリスマスに一緒に過ごそうって誘うような女の子、いないの?」


〈なんでそんなこと聞くのさ!?〉


〈おい、ラック。やめろよ〉


ラックが突然叫び出した。


修平は戸惑い、どの声に耳を傾ければいいかわからなかった。


それでも、修平は空を眺めながらゆっくりと話し始めた。




「俺なー。“こいつだけは絶対守ってやりたい”って思うやつならいる。
 だけどさ、そいつは多分、俺には絶対頼ってくれないから・・。
 
 このままでいいんだよなぁ・・・。
 紗季は?好きなやつとかいねぇの?」




「あたしは・・・いないよ。好きな人・・・。・・い、いたら修平なんかといないって!!」


〈違うだろ!?何で本当のことを言わないのさ?ねぇ、紗季!!〉


『ラック。もういいよ。分ってるんだ。・・・わかってるから』


〈修平・・・・〉


初めて、修平がラックに話しかける。


ラックはびっくりして修平を見つめていた。


雪は、次第に強く、強く降りつもっていった。