中学校最後の暑い日が
まだ続いており

そんな暑い日にもかかわらず
外の部活は延々とやっていた

「オラァッ!そんなかまえじゃオレのボールはとれねぇーぞ!!」

グラウンドに響く威勢のいい声
その男の子が蹴ったボールはものすごい勢いでゴールにシュートした
そしてゴールキーパーは唖然…

「「きゃぁぁぁぁぁあー!♡」」

それと同時に女の子達の黄色い声が響いた

「よっしゃー!」

男の子は嬉しそうににぃっと笑い
ガッツポーズをした

(男の子でもあんな顔…するんだなぁ)
3年の安藤夏紀
そう思いながらメガネをくいっと上げた

「夏紀ー!」

すると友達が向こうから走ってきた
『あ、杏菜ちゃん!』

私は手を振りながら名前を呼んだ
「ごめぇん!委員会で遅れてさぁー…待った?」
いつも一緒に帰る友達、
一ノ宮杏菜ちゃん
杏菜ちゃんは顔の前に両手を合わせた
『ううん!大丈夫!』
私はにっこり笑ってそう言った
「そか!よかった!」
杏菜ちゃんはホッと息をついた

「「きゃぁぁぁぁぁあー!!」」

するとまた女の子の黄色い声が聞こえた
「うっわ、もぅ…なにぃ!?」
杏菜ちゃんはその声に目を丸くさせ、
勢いよくその声のした方を見た

やっぱりさっきと同じで
サッカー部の練習を見ている
女の子達だった

「げぇ…あの女子達、あんな男子ども見てきゃーきゃー言ってんの…??」
杏菜ちゃんはサッカー部を見るなり
顔を引きつらせた

『そう…みたいだねっ、』

「てゆうかあれ2年とか1年でしょ!?どこがいいのか全然わかんない!年下とか嫌いなんだけど!」

杏菜ちゃんはため息まじりにズバズバと
女の子達に聞こえる声で言った

『あ、杏菜ちゃぁん…っ聞こえるよう』

私はジロッとこっちを見た女の子達に気づき、すぐさま杏菜ちゃんに言った

「関係ないわょ!あんな奴らにきゃーきゃー言う方がどうかしてんのよ!」
杏菜ちゃんはフン!と鼻で笑った

(視線がいたいー泣)
私は背中に突き刺さる視線の痛みを
ぐっとこらえた

杏菜ちゃんの性格は昔からこう
幼稚園の時から一緒にいるからわかる
裏表のない性格で言いたいことがあれば
たとえどんな人でもズバズバ言う
だから信頼があつい
一方、杏菜ちゃんと正反対の性格の私は
昔からおっちょこちょいで泣き虫で
よく男の子にからかわれて…
いつも杏菜ちゃんに助けてもらってたなぁ…っ
もちろんからかわれてからというもの今も私は男の子が大の苦手…

「あら、大丈夫よ!あの女子達、あたしらより年下だから!先輩に口答えする勇気なんてないわよー!」

杏菜ちゃんはそう言うと笑っていた
(強いなぁ…)
やっぱり杏菜ちゃんには憧れるな

どんな時でもそう思ってしまう