遊具にたどりついたマリちゃんが、一際嬉しそうな笑い声を上げる。
その笑顔に引き込まれるように、思わず僕の唇もほころぶ。
光り輝く笑顔は何もかも吸引する力を持っていて。
まったく見ず知らずの人間の気持ちまで楽しくさせる何かが溢れていた。
「そっか……これかあ……」
上条さんが足りないといったものの正体が分かったような気がした。
ベンチから立ち上がり、肩からずれたショルダーバッグをかけなおす。
不思議と先ほどまでの重みはもう感じなかった。
来た時とは別物のように軽くなった足で歩き出しながら見上げた空は、変わらず抜けるような青さで……
だけどそれに僕の気持ちが沈まされることも無い。

