ハジメテノキモチ【短篇】



そうだ……僕は本当に楽しんで書いていただろうか?

何故、この肩にかかるショルダーバッグはこんなに重く感じる?

中には持っていった原稿が入ってるだけ。

重いものなんか入ってやしないのに。

上手く書こう、面白く書こう……いつのまにかそればかり考えてやしなかったか?

本当は、少しだけ書くことがつらくなってた。

だけどそれはスランプで、誰しもあることだと思い込もうとしていた。

最初に書いた頃はどうだった?

つたない話だけど、友達が面白いといってくれて。

僕は嬉しくて、だからまた書いた。

書くことが楽しくて、夢中で……

好きなアニメを見るのすら忘れて書いたりもしてた。

今よりずっと下手だったけれど。

今見れば恥ずかしいくらい無茶苦茶な内容だったけど。

それでも書く手は止まらなくて……




そう、僕は



とても楽しかったんだ。