ハジメテノキモチ【短篇】




「あ……」

何度目かにこけて再び立ち上がった時に、やはり満面の笑顔を見せたマリちゃんの顔を見て、思わず声が漏れた。

そう、マリちゃんは楽しいのだ。

歩くことを、走ることを覚えたばかりのマリちゃんは楽しくてたまらないのだ。

転んで立ち上がることさえ。

自分で立ち上がり、走れることが嬉しくて。

やめることが出来ないほどに楽しいから、転んだ痛さすら忘れるほどに……







――それを思った瞬間







「ねえ、最近書いてて楽しいかい?」

上条さんが言った言葉が、脳裏に蘇った。