「し、志乃は?」 「お前が拗ねている間に帰った」 秋斗はそう言うと、私の目の前にある席の椅子を引いて座った。 昨日のことがあって、なんとなく気まずいような雰囲気になる。 ど、どうしよう……だれかこの沈黙をどうにかして……!! 秋斗の方を見ることができず、ずっと下を向いていると、 「別に、バレンタインを楽しみにしてなかったわけじゃない」 と、不意に秋斗が口を開いた。 「……え?」 「ただ、優奈はあまり成績はいいほうじゃないだろ」 その言葉に、グッと言葉に詰まる。