バレンタインデイ数日前。




「みーほっ♪もうすぐ何の日かわかる?」




いつもと同様のスキンシップに加え、今日はいつも以上に上機嫌な拓真。




「はて、何の日だったかな」




上履きを取り出しながら淡々と答えるあたし。




もちろん拓真の言いたいことなんて検討がついている。




「えー、ホントはわかってるんでしょ?」




ね?ね?と拓真はあたしの顔を覗き込みながらしつこく聞いてくる。




「あー、もう。バレンタインでしょ」




「そうっ!!バレンタインだよバレンタイン!!俺こんな日を作ってくれた人に感謝の気持ちを伝えたいくらい」




目を輝かせてうっとりしている拓真。




「ふーん、へーぇ。それはそれは」




スタスタと歩き出したあたしを見て拓真は慌てて上履きに履き替えてくる。