黒猫の姿で夜道を歩く。



まさか、吸血鬼だなんて誰も思わないだろうな。人間は鈍いしそしてバカだ。



別に目的があるわけでもない。本来なら、カニカマクッションをまくらに寝ているはずなのだ。あれは猫をだめにするクッションだ。


※吸血鬼です



あの変態女め。このアリス様を軽くあしらいやがって。



それに腹が立った俺は、ベランダから飛び出した。それが宛もなく彷徨っている理由だ。あの女とはどうも相性があまり良くない。



『血が足りないせいで、元の姿にも戻れないし。最悪だ』



……最悪だが、まあ一応あの女は気に入っている。



気が済んだら戻るか。