黒猫拾ったら、吸血鬼でした。おとしものにはご注意を!

中から現れたのは――雪のように真っ白な、小さい狐。



食べていたのは油揚げじゃなくて、たい焼き。



『誰がバカ狐だ。白狐様って呼べ。オレは彼の有名な、白狐を祀る雪白神社の稲荷神だ。粗末な吸血鬼と一緒にするな』

『誰が粗末だ! 糖分摂取しないと、人形を保てない奴に言われたくないっ』

『オレだって嫌だね』



冷蔵庫開けっ放し状態で、言い合いを始める狐と黒猫。



奇妙な光景だなあ。なんかもう、慣れちゃったなこの光景。



まさか店長が白狐だとは思わなかったけど。



そういえば、冷蔵庫に甘いものたくさん入ってたな。



冷静に分析していると、狐と目が合った。



『せっかく今まで隠し通せたんだけど……仕方ないか。ねぇ沙雪、オレの事名前で呼んでって約束したよね?』



ぎくり。



だって、つい呼んじゃうんだもん!