夢にも思わなかった。この後死ぬほど後悔するであろう、出会いが待ち受けているとは。





公園の前に何かいる…………あ、黒猫。


一体いつからそこにいるんだろう……?


冷たい雨の中たたずむ姿は凛としていて、思わず見惚れてしまう。ーー猫相手なのだが。


「……うちのアパート、ペット禁止だもんな」


黒猫はじっとこちらを見つめたまま、視線を外さない。無言の訴えにとうとう根負けする。


動物に罪はない。よし――なぜか気合を入れて。



「……雨宿りぐらいならいいよね?一晩だけだし」


必死に言い訳しつつ、黒猫をコートの中に隠しアパートに急いだ。