「……彩巴……」





ずっと押し黙ってた、
そーすけさんが顔をあげて
私をじーっと見つめる。





「はいっ。

 奏介、とりあえず……
 アイスブラック、これでも飲みながら
 彩巴ちゃんと聴いててよ」



悠生さんが、そーすけさんの前に
グラスを置くと、
そのままベースの方へと歩いていく。


煌太さんは、煌貴くんを抱いたまま
私たち方へと歩いてくる。



「奏介、彩巴ちゃん、
 煌貴抱いててよ」


その命を受け継ぐように
煌貴くんを託された奏介さん。



奏介さんの腕に抱かれた途端に、
泣き始めた煌貴くん。


煌貴くんを泣き止ませようと
試行錯誤する私とそーすけさん。






そんな私たちに……
近い未来を重ねたら
駄目ですか?





「はいはいっ。
 じゃ、行くよ。
 煌太、悠生、翔琉。

 奏介、アンタには
 まだ話してなかったんだけど
もう一度ギターを手にした
 アンタだからさ。

 晴貴の最後のメッセージ。

 【dream~陽は沈み、陽は昇る~】

 Dreamsのアンサーバージョンって言うのかな。

 アイツの書き残したメモが見つかって
 四人でアレンジしてきた。

 後は奏介。
 アンタの返事がけ聴きたいから」







そう言った後、煌太さんを黙って見つめた
成実は、悠生さん、翔琉さんを見つめて
私たちの方に視線を戻した。




目の前に用意された
セットされたままのアコースティックギター。

アコースティックギギターの前に立った
翔琉さんが、ギターをコツンコツンっと
ノックするように叩いて、
繊細なメロディーを紡ぎだす。


そのメロディーを受けて、
悠生さんが、ベースを重ね……
煌太さんのドラムが、交わっていく。