そんな事はどうだって良い。


両想いという事実さえあればそれで構わない。


「美咲さん、あの、あれ…」


テーブルの上に置いてあるのって盗聴器の受信機?見間違えた?


「今日、シたいんでしょう?一週間位溜まってるもんね。」


僕の言葉を遮って意味深に笑う美咲さんに胸が締め付けられて苦しくなる。


両想いという事実さえあればそれで構わない。そう、自分に言い聞かせた。


僕のクラスでの評判を知っている事も、机の上に無動作に置かれた盗聴器の受信機にも、一週間抜いていないという事も何もかも全て僕は気付かないフリをした。


そう。監視されていたのはきっと僕も同じだったんだ。


「陽太君、好き。」


「…僕もです。」


胸の痛みから逃れるように、僕は彼女にキスをした。


そんな僕たちをクロロの黄色い眼差しだけが静かに、静かに見守っていた。













【監視恋愛】