暫く経っても蹲って啜り泣く声は止まなかった。


何度もあの男に電話を掛け直していたけれど繋がる様子はなく、クロロを抱き締めた美咲さんは声を上げて泣いていた。


どうか、クロロ。
僕の代わりに美咲さんを励ましてあげてくれ。


画面の中じゃ何もしてあげられない事がもどかしい。


カメラを仕掛ければ色んな彼女を知る事が出来て距離が縮まると思っていたけど、違った。


距離が縮まるどころか美咲さんが遠くに感じていく。


急に虚しくなった。
なんだか、僕まで泣きたい気分だ。


涙が落ちないように天井を仰いでいたら、不意を打つように美咲さんの声が聞こえて慌て画面を見る。


〝…もしもし、梨沙ちゃん?今平気?〟


どうやら女友達らしき相手に電話を掛けたようだ。